【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
なんだか腑に落ちない。
けど、先輩の優しさを無駄にしたくない。
一瞬、無言になり。なにを言っていいか分からず
「それじゃあ……」と、家のなかに入ろうとした。
その瞬間。
「なあ、天沢ちゃん」
おもいっきり、ミア先輩に肩を掴まれ、振り返ると。
その余裕のない表情に、心臓は鷲掴みにされたような感覚を覚える。
「な、なに……?」
「好きだ」
「……っ」
急にそんなこと言われたら、恥ずかしくて目を逸らしてしまいそうになる。
でも、目を逸らせないように、先輩は顎を掴んでくるから、卑怯だ。
「こんどは、ネクタイなんて。そんなもので縛りつけずに、ちゃんとした関係がほしい」
「……」
「俺と付き合って」
「……っ」
「返事は?」
そんなの、言われなくても、知ってるくせに。