【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。






「それにしても、詩。
 あんた随分余裕そうじゃない」


ひんやりとした机の上に、頬をくっつけたままのまい実ちゃんが言う。



「余裕って、なにが?」


「ミア先輩と付き合ったってことは、ミア先輩ファンにも知られるってことでしょ?」


「うん?それがどうかしたの」


「あのミア先輩に彼女ができるなんて。
 あんた、命がいくつあっても足りないわよ」


「……」


「覚悟して付き合わないと」




そっ……そんな大袈裟に言わなくても……とは思ったけど。


確かに先輩のファンって、なぜか全員気が強いから、私なんてすぐにぶっ飛ばされそうだ。



「でっ、でもさ。
 ミア先輩のファンって、ミア先輩には嫌われたくないから……さすがに彼女の私には手を出してこないんじゃない?」


「ちっちっち、甘いわね詩。
 甘口のカレーより甘いわよ」


まい実ちゃんが人差し指を左右に振る。



「その逆。彼女には遠慮なんかいらないのよ。
 だってミア先輩に彼女なんか出来てほしくないと思ってる連中よ?
 どんな手使っても、別れさせようとしてくる……はず」


「そっ、そんな~!
 じゃあ私は一体どうすれば」


「そんなの簡単じゃん。
 ミア先輩と付き合ってること、内緒にすればいいじゃん」


「でもさー、せっかく付き合えたのに内緒にするって楽しくなくない?」


「まあ私はどっちでもいいと思うよ?
 あんたが痛い目見ないように忠告してるだけだし」


「……」






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