【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
そんな風に言われたら、怖くなってくるに決まってるじゃん。
まい実ちゃんの意地悪め~~!
けど、私みたいな平凡女が、先輩のファンに認めてもらえるほどの魅力なんかないから。
これから始まる先輩とのお付き合いを邪魔されないよう
仕方がないから、付き合っていることを隠すことにした。
そう決めて、次の休み時間になると。
早速ミア先輩の口止めをしに、二年生の教室の前を行ったりきたりを繰り返していたら。
ーーガラッと開く引き戸。
中からはミア先輩が出てきた。
「なーにまたここで、うろちょろしてんの?
斉藤でも呼んでほしいの?」
今日会えたのは初めてなのに
早速意地悪なことを言う先輩にムッとする。
「それっていつの話してるんですか」
「冗談に決まってるじゃん。
本当に斉藤呼んでほしいなんて言われたら、俺天沢ちゃんに今この場でヒドイことしちゃうかも?」
「って言って、先輩いつもからかうだけからかって、ひどいことは絶対にしないくせに~!」
あはは、と笑う私を見て
急に真顔になるミア先輩。
「したじゃん、ひどいこと」
「……へっ?」
「もう一回してほしいの?」
「……なにがですか?」
「キス」
「ーーッ!?」