【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
だから。
「私と付き合ってること、隠してほしいんだ」
ギュッと下唇を噛んで、それなのに胸の痛みは全然誤魔化せない。
ズキズキする。
本当は普通にミア先輩と付き合いたい。
けど、自信がない。
もちろん、その自信は今からつけていく。
可愛くなりたい。
可愛くなって、先輩と釣り合う女になりたい。
「隠す……?なんで」
先輩は顔色ひとつ変えずに言う。
「自信がないから」
「それだけ?」
「……うん」
「まあ、いいんじゃない?」
「えっ!?」
驚いた私の声が、階段に響く。
慌てて口を押さえると、先輩は笑う。
「なに。俺なんか変なこと言った?」
「だっ、だって先輩が……まさかそんなすんなり受け入れてくれるなんて」
付き合ってること隠すなんて。
それこそミア先輩が嫌いそうなことなのに。
「別に、俺と付き合ったこと後悔してるわけじゃないんだろ」
「そりゃあ……!もちろんですとも!!」
「ならいいよ」
「……」
「天沢の気持ちが追い付くまで待っててあげる」
「なんたって天沢は、恋愛初心者だし?」と意地悪を付け加え。クスクス笑っているけど……それが優しさだって気づいてる。
「みっ、ミア先輩大好き!!」
「えっ、ちょっ」
その不器用な優しさに惚れ直して、素直になれた私は先輩を押し倒す勢いで抱きついた。
待っててミア先輩!!
私ミア先輩に相応しい彼女目指して頑張るから。