【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「言えよ」
「……」
「隠してることぜんぶ」
「……」
「なあ?天沢」
「……っ」
低い甘い声に酔ってしまっている揺れ動く心は
ミア先輩でいっぱいだ。
優しく耳を触ってきたかと思えば
こんどはーーカプリと軟骨を軽く噛まれピクッと反応してしまう。
「天沢ちゃんって耳弱いよね。」
「べ、別に弱いわけじゃ……」
「そう?じゃあもっと攻めてもいいよね」
「……っ、やだ」
「なんで?弱くないんでしょ。
だったら触られたって平気じゃん」
嘘って分かってるくせに。
意地悪ばっかで、私を困らせないでよ。
先輩のバカッ。
「ひゃ……!」と、どっからそんな色気のない声が出てくるのか。
先輩は早速私の耳たぶを弄んでいる。
耳が弱いってこと
知っててやってるから、たちが悪い。
恥ずかしさで頭が真っ白になってくる。
急に力が抜けてきて、ズルズルともたれている壁に背中を引きずりながら倒れてしまいそうになると。
倒れてしまう前に、ミア先輩が私の腰を抱き寄せ、口角を上げた意地悪な顔を近づけてきた。