【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「俺に勝てると思ってんの?
ぜんぶ知ってるよ、天沢ちゃんの弱いとこ」
「うそ、つき」
「嘘?……だったら試してやろうか?
もしかしたら新しい弱いとこ、見つかるかもしれないし」
冗談だと思った。
でも先輩はいつだって本気だ。
私の顎を持ち上げた指を下の方へツゥー……と、なぞるように、喉の真ん中まで下ろすと。
こんどは首の後ろに、その指を移動させる。
うなじが弱い私は、ピクリとすぐに反応してしまう。
「ここも弱いって知ってるよ」
先輩は言いながら、私の反応を見て楽しむと。
次に攻めてきたのは、唇だ。
顔を近づけ、キスしようとしてくる。
思わず雰囲気に流され、私も目を閉じると。
「残念、素直じゃない天沢にキスなんかするわけないじゃーん」
と、ミア先輩は親指の腹で私の口についている薄いピンク色のリップを拭って、楽しそうに笑っている。