【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「やっぱ、どっちも駄目だ」
「ーーへっ?」
「さっきの水着、あまりにも露出が多いから。
天沢ちゃんの肌、他の野郎に見られんのヤダし」
「……」
「だからと言って、あまり肌を見せない水着選んだって。
なんの意味もない」
「……」
「結局どれ着たって、天沢は天沢なんだから。
可愛くないわけがないんだよなー」
「……っ、せんぱい」
私が可愛いだなんて。
そう思ってくれる人、この世でミア先輩しかいないと思うんだけど。
……ねえ、浮かれてもいいかな?
さっき自分で選んだ水着、拒否されたのって。
あれ、先輩の嫉妬だったんだ。
先輩ってどこまでも分かりにくい人。
でもだからこそ、そんな先輩を知れたときの幸せって、なかなか味わえるもんじゃない。
「なあ、天沢ちゃん」
「はい……?」
「海って危険がいっぱいなんだよ?」
「クラゲとかサメ?」
「それもあるけど。
一番は男」
「……」
「まあ、その男の中に、俺も入ってるんだけどね」
「……っ」