【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「先輩、美人と付き合ってたくせに。その後によく私なんかと付き合えますね」
自虐ネタっていうか、本心っていうか。
やっぱり、女としては完全に負けてる気がする。
「そう?俺は天沢ちゃんの方が可愛いと思うよ」
「……」
「顔も中身も、天沢ちゃんの方が好き」
「先輩……変な趣味してますね」
「そっちこそ、そろそろ可愛いこと自覚したら」
美人にあっさりと負けを認められるのは
多分自信がないからとかじゃなくて……。
先輩が、私の方が可愛いって言ってくれるからだ。
先輩にそう思われてれば、もうなんだっていいや。
世界一可愛くなれた気がする。
「つか。もういいよ他の女の話なんか」
言いながら、立ち上がる先輩が私の方に手を伸ばす。
その手に触れたら、勢いよく引っ張られ、立ち上がると。
そのまま海に向かって歩く。
「今日は天沢のことだけ考えていたかったのに。
とんだ邪魔が入った」
太陽の光を直に受けている砂を踏む度
熱くて足の裏が痛くなるけど。
それも喜びに変わっちゃう。
先輩の隣で歩いた証を、足跡として残せているからかな?