【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。





「天沢、放課後あけとけよ。」



いつもより低い声。

正反対に歩き出す私の背中に、ミア先輩が投げつけた言葉は、短いのにゾッとする。




「……」


きっと、この話の続きに決まってる。


ただでさえ喧嘩っぽくなってるのに。

先輩に口で勝てたことがないから
負ける気しかしない。



やだな……放課後、憂鬱だよ。



彼女だってこと隠しても、普通に先輩と学校でも顔を合わすことができるのは。

付き合う前から、先輩が私にしつこく構ってくれていたおかげだからだ。



それなのに……付き合うとやっぱりちょっとだけ意識しちゃって。

両思いだから先輩のこと嫌がることが出来なくなっている今
自分を隠すことができなくなってしまっている。


だから、多分。


私たちのどこか甘い雰囲気に
ミア先輩のファンは、違和感を覚えたに違いないよ。


まだバレてない。

だけど、もしバレたらどうするの?


その時はその時考えようと思ってたけど。

やっぱり今考えなきゃ駄目だ。


もう自分を隠すことなんて、できないよ。


両思いなのに、辛くなったら意味がない。


先輩と喧嘩するのだって嫌だし。


やっぱり隠すなんて、私にはできないし
放課後、先輩に相談してみよう……。


素直に話せば、先輩だってきっと
分かってくれるずだから。






< 258 / 309 >

この作品をシェア

pagetop