【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「天沢、放課後あけとけよ。」
いつもより低い声。
正反対に歩き出す私の背中に、ミア先輩が投げつけた言葉は、短いのにゾッとする。
「……」
きっと、この話の続きに決まってる。
ただでさえ喧嘩っぽくなってるのに。
先輩に口で勝てたことがないから
負ける気しかしない。
やだな……放課後、憂鬱だよ。
彼女だってこと隠しても、普通に先輩と学校でも顔を合わすことができるのは。
付き合う前から、先輩が私にしつこく構ってくれていたおかげだからだ。
それなのに……付き合うとやっぱりちょっとだけ意識しちゃって。
両思いだから先輩のこと嫌がることが出来なくなっている今
自分を隠すことができなくなってしまっている。
だから、多分。
私たちのどこか甘い雰囲気に
ミア先輩のファンは、違和感を覚えたに違いないよ。
まだバレてない。
だけど、もしバレたらどうするの?
その時はその時考えようと思ってたけど。
やっぱり今考えなきゃ駄目だ。
もう自分を隠すことなんて、できないよ。
両思いなのに、辛くなったら意味がない。
先輩と喧嘩するのだって嫌だし。
やっぱり隠すなんて、私にはできないし
放課後、先輩に相談してみよう……。
素直に話せば、先輩だってきっと
分かってくれるずだから。