【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。






「好きなもの頼んでいいよ」


私にメニュー表を渡す先輩は、どこか素っ気ない。


気まずくて、メニュー表に書いてある字を隅々まで見る。



「えっと、オレンジジュース」


「それだけでいいの?」


「はい……」


いつもだったら、色気より食い気なのに。

今は食べる気がしないよ……。


空気が重いせいかな。



「オレンジジュース二つで。」と、タイミング良く現れた店員さんに、先輩は頼むと。


すぐにオレンジジュースがやってきて。

私たちの間に割ってはいる伸ばされた店員さんの手が。

オレンジジュースの入った透明なグラスをテーブルに置いた。



「どうぞごゆっくり。」と、渋い声の店員さんがそう言ってカウンターに戻っていく。


こっからが戦いだ。


先輩は静かに口を開く。







< 261 / 309 >

この作品をシェア

pagetop