【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「好きなもの頼んでいいよ」
私にメニュー表を渡す先輩は、どこか素っ気ない。
気まずくて、メニュー表に書いてある字を隅々まで見る。
「えっと、オレンジジュース」
「それだけでいいの?」
「はい……」
いつもだったら、色気より食い気なのに。
今は食べる気がしないよ……。
空気が重いせいかな。
「オレンジジュース二つで。」と、タイミング良く現れた店員さんに、先輩は頼むと。
すぐにオレンジジュースがやってきて。
私たちの間に割ってはいる伸ばされた店員さんの手が。
オレンジジュースの入った透明なグラスをテーブルに置いた。
「どうぞごゆっくり。」と、渋い声の店員さんがそう言ってカウンターに戻っていく。
こっからが戦いだ。
先輩は静かに口を開く。