【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「とりあえず。トイレでなにされたか教えてくれない?」
言いながら、グラスに口をつけた先輩。
氷がカランと鳴る音が、やけに響いて聞こえ、気まずさを物語っている。
「ほんとになにもされてませんよ。
ただ、噂のこと言われただけです」
叩かれる前に、田中先生が来たから。
手をあげられた訳じゃないし。
私のこと心配してくれるのは、ものすごく嬉しいけど。
今の先輩、ちょっと怖いから。
もし私がトイレでの出来事を言ったら
あの人達、なにされるか分かんないから。
結局、言えないよね。
「天沢、なにかあると俯く癖直したら?」
「ーーッ」
「そんなんじゃ、なにも隠せないよ?」
「……」
「まあ、天沢が隠し通したいなら、もうそれでいいよ。けど、」