【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
次の日。
学校に行くと、いつもの廊下が真っ直ぐなはずなのに
抜け出せなくなってしまうんじゃないかと、不安になるくらい長く感じる。
寝不足のまま、フラフラな足で廊下を歩くと。
私の前からやってくる先輩は、いちご牛乳をストローで飲んでいる。
ドキッとした。
昨日、ミア先輩の言うことを聞かずに
優愛さんと二人で話し合いしたこと。
メールでは、先輩普通に接してくれていたけど
きっと怒ってると思う。
変な緊張でドキドキしながら、先輩に声をかけようとした。
が。
ーースッと。
先輩は静けさを纏っているみたいに。
私の横を簡単に通りすぎていった。
「えっ?」と思わず声に出しながら、後ろを振り返るけど。
先輩はスタスタと長い廊下を突き進み、私のことなんか空気扱いだ。
なっ……なんで?
なんで無視されたんだろう私。
だって昨日の夜、先輩メールで普通だったじゃん。
確かにいつも気まぐれだよ?ミア先輩は。
だけどすれ違っただけでも分かるくらいに
雰囲気がいつもより冷たい。
「な、んで」
よく分かんなくなって、頭がこんがらがる。
けど
もしかしたら私の勘違いかもしれないし……?と
謎のポジティブ感情が生まれ、お昼休みにまた話しかけてみようと。
自分の教室まで焦りを隠そうと必死になりながら、小走りした。