【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
落ち着きがないまま、机に向かって数時間が経つ。
休憩時間だって、イスにお尻をくっつけたまま、その場から離れようとしないし。
授業中はまったくと言っていいほど集中できなかった。
「詩、今日様子変だけど、なにかあったの?」
「……」
「おーい」
ひらひらと。目の前でまい実ちゃんに手を横に振られても、ボーッとしたまま、口はだらしなく開きっぱなしだ。
「……ねえ、まい実ちゃん」
「ん?」
「急にさ、男の人が冷たくなるって、どういう心情なのそれ。」
「へっ?そりゃあ飽きたとか、どうでもよくなったとか……?」
「だよね~」
机の上に肘をつけたまま、はあ、と。ため息を吐く。
きょとんしとしたまい実ちゃんの表情が、どんどん青ざめていく。
「ちょっ、もしかしてミア先輩となんかあったの!?」
「ちょっとね……。でも昨日の夜、先輩からメールきてたし。その時は普通、むしろ優しかったのに」
たとえ1通だけでも。
優愛さんと二人っきりだった状況を心配してくれる先輩は優しかった。
それなのに、だ。