【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「先輩に無視されちゃった」
「……勘違いじゃない?」
「ううん。そんなはずない。
だって手が届く距離ですれ違ったんだよ?」
「……」
「やっぱり飽きられちゃったのかな、わたし」
「……詩」
きっとこんなこと言ったって、まい実ちゃんを困らせるだけ。
やっぱりちゃんと、先輩から話を聞かないと、分かるはずのものが分からないままで終わっちゃう。
喧嘩したわけじゃないけど……
先輩と気まずいままなんて嫌だ。
「まい実ちゃん、私ミア先輩にどうして無視したのか聞いてくる」
「えっ!もうすぐで休み時間終わっちゃうよ?」
「すぐ戻ってくるから!」
勢いよく教室から飛び出して、先輩の教室まで向かう。
走っているせいか、床を踏む度にタンッタンッという音が廊下に響いて、うるさい。
『廊下を走るな』の注意書を無視しているせいで、いつ先生に呼び止められるか怖かった。