【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「じゃっ、じゃあ今日私を無視した理由って……優愛さんとヨリ戻すからじゃ……ないんですね?」
わざと遠回りして歩く帰り道。
建物と建物に挟まれた、狭い通路を歩きながら、話を続ける。
ミア先輩は、「はあ」と重たいため息を、わざと聞かせてくる。
「あのさ、俺言ったよね?」
「……なにを、」
「天沢ちゃんが俺のファンにトイレで酷いことされたの、言わないままなら。
学校では話さないって」
「……」
確かに言ってた。
でもその後、優愛さんがミア先輩に告白するって言うから。
そっちの方に気が取られて、忘れてたよ。
「でもまさか……そんなに冷たくされるなんて、思ってなかったし」
「誰か言ってくれるなら、俺だってその子に注意できるけど。
天沢ちゃん、頑なに言おうとしないじゃん。
俺の知らないところで天沢が辛い思いするくらいなら、俺が冷たくして、なんの関係もありませんって顔しとけば、あいつらも天沢に嫌がらせしないでしょ?」
「でも、それじゃあどうして。私よりもミア先輩の方が付き合ってること隠したがってたんですか」
「あらら、気づいてたの?」
「優愛さんに言われて……」
「あの女……天沢に余計なこと言いやがる」