【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
ふう、とこんどは力を抜いて、頭を掻く先輩は、立ち止まって私と目を合わせる。
「昔……安藤に言われたんだ」
「へっ……優愛さんに?」
「うん。『美秋がもし誰かを好きになって付き合った時。絶対その子は不幸になるね』って」
「……」
「……ダサい話、けっこう傷ついてんだよ、その言葉に。」
「えっ人!?ミア先輩って人の言葉に傷つけるほど、繊細だったんですか!?」
「ねえ、泣かせていい?」
「……ごめんなさい」
軽く頬をつねられた……痛い。
「トラウマになったのは、天沢と付き合い出してからなんだけど。」
「……最近じゃないですか」
「そう。人を好きになったことなんかなかったから、その言葉の意味全然理解できなかったけど。
今なら分かる」
「……」
「俺が見てない時に俺のせいで天沢になにかあったらどうしよう、とか。
護れなかったらどうしようとか、色々考えるんだよ」
「……みあ、せんぱい」
「好きだから、護りたいからこそ隠したがってしまうんだ。
天沢を傷つけていいのも、見ていいのも、愛していいのも俺だけなのにって。
ふと思ってしまう。」
「……ねえ、さっきまでの感動を狂気とごちゃ混ぜに話さないでくださいよ」
「ハハッ、まあほら。独占欲ってやつ?
不安しかないよ。
天沢が思ってるほど、俺自分に自信なんかないから。
とくに、好きな子相手だと……ね?」
「……っ」