【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
▽
心構えだけはしていた。
よくよく考えてみてもみなくても。
昨日の元カノとの修羅場
人前でのキス。
ミア先輩との関係がバレた今。
先輩のファンになにかされるんじゃないかと、怯えながらも、勇気を振り絞って学校に来たのに。
放課後まで、いつも通りに学校生活を送れて拍子抜けした。
ここまで何も起こらないと逆に怖い。
そう思っていたけど。
実は知ってるんだ。
校舎裏で、ポニーテールの先輩が
今にも私の教室に乗り込もうとしているミア先輩ファンの人達のことを止めていたこと。
「美秋の彼女傷つけたところで、私たちを好きになってくれるわけないじゃん。
逆に嫌われちゃうよ」って。
建物の死角に隠れながら、その言葉を聞いたとき、思わず泣きそうになった。
ありがとうね……先輩。
心の中でそう呟くと、ふと目があった様な気がしたけど。
他のファン達に囲まれながら、ゾロゾロとその場から離れていくポニテ先輩。
やっぱり……なんだかんだイイ人なんだよなあ
あの先輩。
優しいところ見ちゃったら、嫌いになんかなれないよ。