【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
長い廊下を歩いて、向かった先は玄関。
思い返してみると、この数ヶ月の間に、色んなことが起きた。
そこから生まれ育った愛しいという気持ちを、綴って。
あの日間違えてミア先輩の靴箱に入れたラブレターを。
こんどはちゃんと、好きだという気持ちを込めて、ミア先輩の靴箱に入れる。
シューズロッカーの死角に身を隠しながら
スマホをタップして、ミア先輩にメールを送る。
『玄関で待ってます』
そう送って数分が経つ。
放課後の廊下は、人があまりいないせいか、人の歩く気配が感じ取れる。
ーーキタ。
こっちに向かってくるミア先輩の姿を見て、すぐに体を死角に戻した。
どき……どき、と。心臓が鳴る。
ミア先輩がロッカーシューズを開けた瞬間。
「へへ、受け取ってくれますか?」
ミア先輩の前に姿をあらわして、微笑みかける。
先輩の手には私がさっき入れておいたラブレター。
ミア先輩はその場でしゃがみ込んで。
「そういうとこ……ズルいよね、ほんと。」
そう言って、私に微笑みかけた。
(おしまい)