【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「天沢ちゃんのラブレター返して」
「……」
「お前にはもったいないよ」
ミア先輩が低い声でそう言うと。
斉藤先輩は慌ててラブレターを差し出し、青白い情けない顔を晒す。
斉藤先輩の友達も、さっきまで一緒になって笑ってたくせに。
今じゃ梅干しを食べたみたいに、口をバッテンの形にして黙っている。
受け取ったラブレターを、振り返って私に渡そうとするミア先輩。
だけど先輩は、「やっぱやーめた」なんて言って。
次の瞬間、ビリビリと躊躇なくラブレターを破るんだもん。
さすがの私もこれには開いた口が塞がらない。
「ちょっ……!?それ私のラブレターなんですけどっ」
「もういらないでしょ?」
「いらないけど……!なに勝手に破ってるんですか」
「いやー、天沢ちゃん。ほんと見る目なさすぎて、ついついイライラしちゃってさ。
間違えて破っちゃった~」
「間違えてって……嘘つきじゃん!!」