【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
違う。
ほんとはもっとちゃんと、お礼が言いたいのに。
ミア先輩相手だと、素直になれない。
なんでミア先輩相手だと、可愛く振る舞えないのかな?
だってミア先輩、いっつも。
「やっぱりラブレター、俺の下駄箱に入れといた方がよかったんじゃない?」
私を素直にさせなくする、からかい方するんだもん。
わざとなのかな?
「先輩の下駄箱にラブレターなんて、絶対に嫌」
「わお、直球」
「でも……」
あの時斉藤先輩よりも。
私のことを庇ってくれたミア先輩の方が、何倍もかっこよく見えたなんて。
そんなの、口が裂けても言えないね。
「でも?」
「……ありがとうございます」
照れた顔で、ろうそくの火を消すみたいに。
ものすごく小さな声でそう呟けば。
「素直になっちゃって、可愛いねー天沢ちゃん」
髪の毛がボサボサになるくらい、ミア先輩に頭を撫でられたから。
やっぱりこの人相手に素直になるもんじゃないと思った。