【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
それから数時間が経ち。
ウトウトと睡魔に襲われながらも、やっと終わった授業に、昼休みだと浮かれる私は目を覚ます。
「今日のお弁当はなにかな~」
まい実ちゃんが私の前の席の人に机を借りて、対面する形で私の机と合わせる。
弁当箱を包んでいた薄い紫色のハンカチを広げる。
ーーパカッと蓋を開けると、中身は大好物だらけ。
私が箸を取る前に
まい実ちゃんが2個しかない唐揚げを奪い取るから絶句した。
「まっ、まい実ちゃん!!
あげるなんて一言もいってないのに!」
「だってさ~、詩ママの作る唐揚げ美味しいんだもーん」
「でしょー?……って、褒めたって許してあげないんだから。」
せっかく楽しみにしてた唐揚げが……最後の一個になっちゃった。
勿体無いから最後に食べようと思って、端に寄せて置いたのに。
後ろから伸びてきた手が、ひょいっと私の唐揚げを取る。
慌てて振り返れば、ごくんと喉仏を上下に動かして
唐揚げを飲み込むミア先輩がいる。