【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
トイレから出て、部屋に戻る途中。
「あれ、天沢ちゃんじゃん」
下ばかり見て歩いていたせいで、すれ違った人に全然気づかなかった。
だけど顔をあげる前に、声ですぐに誰か分かった。
「ミア……先輩」
「なにしてんの?
天沢ちゃんがカラオケ?
似合ってんじゃん」
「私歌えないよ……」
ミア先輩が持っている透明なコップにはオレンジジュースが入っていて、飲んでるモノが一緒だとちょっと嬉しい。
そんなミア先輩を見て、ホッとしたせいでウルッときた。
なんだろうこのミア先輩の安心感。
半端ない。
「みっ、ミア先輩大好きです~」
「えっ、なに急に。どうしたの天沢ちゃん、いつにも増して気持ち悪いよ?」
「ひどい」
「ハハッ冗談じゃん。
でっ、どうした、なにかあったの?」