【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「天沢ちゃん。頬にクリームついてるよ」
「えっ、嘘!?」
「ほんと」
トントンと、ミア先輩が自分の頬を人差し指で触って、どこについてるか教えてくれた。
そこを勢いよく手で拭ってみるけど、なにもついてないじゃん。
隣を見ると、ミア先輩がクスクス笑ってる。
騙された……。
「俺の言うことすぐ信じちゃうんだから。
駄目じゃん」
「ひどいミア先輩!!騙すなんてあんまりだ!!」
「ほんとに嘘だと思う?」
「へっ?」
ミア先輩の手が伸びてくる。
親指の腹で私の右頬を拭うと、本当についていたクリームはミア先輩の手を汚した。
ミア先輩は私の目を見ながら、「ほらね」と笑う。
……二度も騙されるなんて、バカだよ私。
こういう人なんだよ先輩は。
ずるさの塊だよ……いちいちドキドキさせてくるから
そんなとこが嫌いなんだよ……。