【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。





昨日の先輩は余裕がない顔を見せてくれたのに。


今じゃあ私の方が全然余裕がない。


私ばっかりドキドキして、ドキドキさせるのはいつもミア先輩の方で。


こんなの、絶対おかしい。


無駄に意識してしまう私の方が、ミア先輩のこと好きみたいじゃんか。




「あららー、顔なんか赤くさせちゃって。
 どうしたの、天沢ちゃん」


分かってるくせに、わざわざ口にするあたり。
この男、確信犯だ。



「ずるい……」


「んっ?」


「ずるいずるいずるーい!!
 先輩のそういうとこにドキドキする自分が憎いってこと、分かってよ!!」


「えっ、急にどったの天沢ちゃん。」



プイッとそっぽ向く私に、意味分かんなそうにミア先輩は顔を覗いてくる。


今視界にこの人を入れたら、なにもかも奪われちゃいそう。


いくら恋愛初心者だからって、恋の前触れぐらいには嫌でも気づいてしまう。


この胸の高鳴りが教えてくれるんだもん。


それでも好きにはなりたくない。


先輩なんか好きになってしまったら
抜け出せなくなりそうで怖いから、絶対やだ。



私はもっと普通な人と恋愛した方が、上手くいく気がするから。


だから先輩なんか……。



< 92 / 309 >

この作品をシェア

pagetop