【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
昨日の先輩は余裕がない顔を見せてくれたのに。
今じゃあ私の方が全然余裕がない。
私ばっかりドキドキして、ドキドキさせるのはいつもミア先輩の方で。
こんなの、絶対おかしい。
無駄に意識してしまう私の方が、ミア先輩のこと好きみたいじゃんか。
「あららー、顔なんか赤くさせちゃって。
どうしたの、天沢ちゃん」
分かってるくせに、わざわざ口にするあたり。
この男、確信犯だ。
「ずるい……」
「んっ?」
「ずるいずるいずるーい!!
先輩のそういうとこにドキドキする自分が憎いってこと、分かってよ!!」
「えっ、急にどったの天沢ちゃん。」
プイッとそっぽ向く私に、意味分かんなそうにミア先輩は顔を覗いてくる。
今視界にこの人を入れたら、なにもかも奪われちゃいそう。
いくら恋愛初心者だからって、恋の前触れぐらいには嫌でも気づいてしまう。
この胸の高鳴りが教えてくれるんだもん。
それでも好きにはなりたくない。
先輩なんか好きになってしまったら
抜け出せなくなりそうで怖いから、絶対やだ。
私はもっと普通な人と恋愛した方が、上手くいく気がするから。
だから先輩なんか……。