【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「おーい天沢ちゃーん」
「……」
「こっち向けー」
「……」
「聞いてるの、詩」
「ーーッ!?」
不意打ちで呼ばれた名前に驚いて、思わず先輩と目を合わせてしまう私は、全然抵抗できてない。
っと、ミア先輩が持っていた自分用のチョコレートクレープを私の口に押し付けた。
甘さが、身体中に広がる。
先輩の食べかけのクレープ。これって間接キスじゃんか。
「イライラした時には甘いものだって、よく聞くけど」
「……」
「そんなことよりどう?初めての間接キスは」
「……っ、そんなこと聞くなんてほんっとデリカシーない!!」
「俺にそんなもんあったら、こうやって天沢ちゃんをからかえないでしょ?
このからかい方、ちょっと癖になってきてるくせに」
「~~っ!!別になってないし!!」
「ほんとかなー?」
「ほんとだよ!!先輩のあほ、ばか、すけべ!!」
「小学生レベルの悪口じゃん、可愛げある奴め~」
「……」