【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
駄目だ、先輩に勝てる気がしない。
別に勝とうとも思ってないけど。
「あっ」と声が漏れる。
鼻先にチョンッと落ちてきた水滴が弾けた次の瞬間。
サァー……と静かに振りだす急な雨。
公園に居た人達が、一気に走り去っていく。
「デートどころじゃなくなったね、帰るとしますか」
「そうですね……。」
自分から誘っておいて、雨が降ったぐらいで呆気なく帰ろうとするミア先輩に、なんだか腹が立ってくる。
どっかのお店で雨宿りするとか、誘ってくれてもいいじゃん……。
そしたらまだ、二人っきりでいられるのに。
なんか名残惜しいよね、こういうの。
なんでだろう。
私の憂鬱を感じ取った空は、ゴロゴロと雷まで鳴り出す始末。
静かな雨が土砂降りへと変わった瞬間。
先輩が私の顔を覗いて。
「俺の住んでるマンション、すぐそこだから、おいで。」