【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
からかって笑っている先輩に、すぐに部屋へと案内された。
一人部屋は、ベッドと机と本棚とそれからクローゼットが置いてあり。
無駄なものは置いてない、見るからにシンプルな先輩らしい部屋だった。
「ほら、天沢ちゃん。風邪引くから風呂でも入ってきな」
クローゼットを開けて、できるだけ小さめの服を選んで私に渡す先輩。
「いい……いい!!大丈夫!!風呂なんてそんな!!」
自分でも恥ずかしいくらいの、この慌てぶり。
初めて来た先輩の家でお風呂なんて、そんなの嫌に決まってる。
モテるくせに、ほんっと女心分かってないよねこの人。
「はあ?風邪引かれたら困るんだけど。
いいから入れよ。
別に見ねーよ、興味ねーし」
急に冷たくなる先輩の態度に、思わず押し付けられた服を受け取ってしまうほど、ショックだった。
興味ないって……。
それ思ってても普通言うかな?
そりゃあ変に意識した私も悪いんだろうけどさあ。
やっぱ先輩ってよく分かんないや。