【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「天沢ちゃん、せっかくだし髪乾かしてあげようか?」
机に置いてある青のドライヤーは、私がお風呂から上がるのを待ち構えていたみたい。
先輩がドライヤーを手に、近づいてくる。
ポタリと、毛先から雫が落ちて鎖骨を伝う。
ダメ。
なんか、先輩の部屋にいるせいかな。
それとも先輩の匂いで包まれているせいかな。
いつもより先輩を近くに感じて苦しい。
「だめ……っ」
「なにが?」
近づいてこないで。
このままじゃ私。
ドキドキしすぎて死んじゃうかも。
「天沢ちゃん」
「……な、に」
「俺のこと意識しすぎじゃない?
そんなんだと逆に、襲いたくなっちゃうって分かんないの?」
「……っ」
「だめだよ、二人きりの時に、男を煽っちゃ。
学校で習わなかった?」
「なっ、習うわけないじゃん!!」
「だよねー。
じゃあ、俺が教えてあげる。
男を煽ったら……どうなるか」