A person who has fulfilled a wish

青い瞳



彗「ふぁぁ、、」


俺は窓側から2番目の後ろの席で大きなあくびをした。


お昼を過ぎると日が照り眠気が襲ってくるから午後の授業は特にやる気が出ない。


更に今の時間は世界史の時間。

よぼよぼの優しいおじいちゃん先生は周りの寝てる生徒を気にせずに黙々と教科書を読んでいるが、それが子守唄のように聞こえる。


寝ていないのは真面目にノートを取る生徒数人とボーッとしている俺ぐらいだ。


『キーンコーン カーンコーン』


チャイムがなると教室は賑やかさを増す。


クラスメイトたちが目を覚ましたのだ。


先生「えー、じゃぁここまでにします」


学級委員「起立。、、礼」


「「「「ありがとうございました」」」」


教科書をしまっていると前の席に座る親友の快斗が話しかけてきた。


快斗「彗ー。次の授業何だー」


彗大「ばーか。もうねぇよ」


快斗「マジか! じゃあ早く帰ろうぜ!」


快斗はスクバを持ち立ち上がった。


彗大「ハイハイ」


俺は快斗の後を追って教室を出て行った。




部活動に励んでいる生徒たちを横目に見ながら帰っていく。


快斗と俺は部活に入っていない。


だが快斗が運動神経の良い事から運動部に助っ人として行くことが多々ある。

その巻き添えをくらい俺も行くこともある、、。


今日はそう言ったお願いは無く、真っ直ぐに家に帰って行く。


快斗との家もそれなりに近いので一緒に帰ることが多い。



他愛もない話をしていると、前方にキョロキョロと右往左往している黒髪に金のメッシュが入った女性の姿がはっきりと見えてきた。


不意に彼女が振り向き俺は息を止めた。


彼女の目は美しい青い瞳。

それを引き立たせるように白い肌にぷっくりした唇にシュッとした鼻。

少しつり上がった目。

どこからどうみても女優やモデルのような綺麗な彼女は俺たちの方に進み寄ってくる。


そして、快斗と俺の前に歩みを止め制服をまじまじと見ると。


「あなた達 咲常高校の生徒?」



「「.......」」



間近に見える彼女の瞳はとても綺麗だ。


「...ねぇ。 聞いてんの?」


彼女は俺たちを軽く睨んだ。


「あ、す、スミマセン...」


俺は片言になりながら彼女に言葉を返す。


「で、咲常の生徒なの?」


「は、はい、、そうですけど..」


「じゃあ、咲常までどうやって行くか教えてくれない?」


「えーと....こ、この先をまっすぐ進んだら見えてきますよ」


俺は指をさして歩いてきた道を指した。


「ふ〜ん。ありがと」


彼女は軽く手を振ると咲常に向かって歩いて行ってしまった。




「うわっ!」



急に背中に衝撃が走り倒れそうになり、左足で踏みとどまった。


「なんだよ 快斗!」


「なぁ! さっきの彼女!
めっちゃ美人じゃなかったか!」


「そうだな...」


「芸能人かもな!めっちゃ綺麗だったし‼︎
...てか、なんで咲常に行こうとしてんだ?」


「さぁな...」


俺は踵を返し歩みを進めると、快斗もついてくる。



また 会えるといいな...




不意にそう声に出そうとしたが口を噤んだ。



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