うさみみ短編集
「サッカーやろうぜ!五年の奴らとさ、試合だってよ」
「ああ、後で行く。ボール取っとけよ」
大好きなサッカーなのに、ツトム君は席を離れようとはしない。
きっと苛々してるんだろう、ツトム君の足はダンダンと連続的に教室の床を踏んでいた。
「穂守。まだ食べてないのかよ」
「……」
苛立った口調なのは十分に分かった。だけど、仕方が無い。ピーマンもツトム君も私にとって世界で苦手なもの三つの中の二つなのだ。
「お前、今からする事、先生に言うなよ?」
とぽつりとツトム君が呟いた瞬間、私の皿に真っ黒い箸が伸ばされて、丁寧に避けられたそのピーマンを摘み取った。
その緑色に艶めく歪な苦々しい物体は、あっさりと摘み取られ、私の右隣の肉食獣の牙のむく口の中へと落とされる。
「あ…」
私はその光景を、ただ口を開けて見守っている事しか出来なかった。
「ごちそうさま!」
乱暴に手を合わせたツトム君は、椅子を投げ出すように引いて教室を駆け出していく。
「ああ、後で行く。ボール取っとけよ」
大好きなサッカーなのに、ツトム君は席を離れようとはしない。
きっと苛々してるんだろう、ツトム君の足はダンダンと連続的に教室の床を踏んでいた。
「穂守。まだ食べてないのかよ」
「……」
苛立った口調なのは十分に分かった。だけど、仕方が無い。ピーマンもツトム君も私にとって世界で苦手なもの三つの中の二つなのだ。
「お前、今からする事、先生に言うなよ?」
とぽつりとツトム君が呟いた瞬間、私の皿に真っ黒い箸が伸ばされて、丁寧に避けられたそのピーマンを摘み取った。
その緑色に艶めく歪な苦々しい物体は、あっさりと摘み取られ、私の右隣の肉食獣の牙のむく口の中へと落とされる。
「あ…」
私はその光景を、ただ口を開けて見守っている事しか出来なかった。
「ごちそうさま!」
乱暴に手を合わせたツトム君は、椅子を投げ出すように引いて教室を駆け出していく。