アラシとナギのロールキャベツ
お正月がすぎたばかりの、しとしとと小雨の降る朝でした。
「失礼、ここが『うみのねこ』という店でしょうか」
そう言って店に入ってきたのは、ヒキガエルの忍者でした。
黒い忍者装束に身を包み、ぎょろりとした目がぬめぬめ光っています。
怖そうな顔でしたが、とても丁寧で静かな声でした。
「いらっしゃいませ」
アラシとナギが席に案内しようとすると、カエルは首を横にふりました。
「予約をお願いしたいのです。今夜、お殿様をお連れするので『くじ』を用意していただきたい」
「くじ?」
アラシとナギは思わず顔を見合わせました。
「すみません、僕たち『くじ』なんて料理は知らないんですが、どんなものですか?」
「料理ではありません。くじ引きですよ。当たりが一つだけ入っている、くじです」
ナギが困り果てて言いました。
「ここは料理店なんです。くじなんて作ったこともないわ」
「なんと! 客の欲しいものをなんでも出すという噂を聞いてやってきてみれば、料理店ですって?」
ヒキガエルはナギよりももっと困り果てた顔になってしまいました。
見かねたアラシがそっと声をかけます。
「どうしてくじなんですか? よければお聞かせください」
ヒキガエルの忍者は「お恥ずかしい話ですが」と前置きをしてから、話を始めました。
「失礼、ここが『うみのねこ』という店でしょうか」
そう言って店に入ってきたのは、ヒキガエルの忍者でした。
黒い忍者装束に身を包み、ぎょろりとした目がぬめぬめ光っています。
怖そうな顔でしたが、とても丁寧で静かな声でした。
「いらっしゃいませ」
アラシとナギが席に案内しようとすると、カエルは首を横にふりました。
「予約をお願いしたいのです。今夜、お殿様をお連れするので『くじ』を用意していただきたい」
「くじ?」
アラシとナギは思わず顔を見合わせました。
「すみません、僕たち『くじ』なんて料理は知らないんですが、どんなものですか?」
「料理ではありません。くじ引きですよ。当たりが一つだけ入っている、くじです」
ナギが困り果てて言いました。
「ここは料理店なんです。くじなんて作ったこともないわ」
「なんと! 客の欲しいものをなんでも出すという噂を聞いてやってきてみれば、料理店ですって?」
ヒキガエルはナギよりももっと困り果てた顔になってしまいました。
見かねたアラシがそっと声をかけます。
「どうしてくじなんですか? よければお聞かせください」
ヒキガエルの忍者は「お恥ずかしい話ですが」と前置きをしてから、話を始めました。