囚われの王子様。
「じゃあ、そういうことだから」
私の肩を抱いたまま、見知らぬ男の人はしれっとそう言った。
そういうことって…。
いや、どういうこと?と混乱しきった頭に、更にはてなマークを浮かべていると、肩を抱かれたまま、くるりと方向転換させられる。
背中に2人分の視線を感じながら、ずんずんと引き摺られるように、そのまま公園の出口まで来たところでようやく男の人が立ち止まり拘束を解かれた。
「悪い」
その男の人は、後ろを振り返り何かを確認すると、ぱっと私から離れる。
「よかったら、家まで送っていくけど」
「い、いや。大丈夫です…」
「そう、だよな。ごめん…。じゃあ」
困ったように片手で顔を覆い謝る姿が何故か可哀想に思えて、文句を言うのも忘れてしまった。
頭を深く下げたその人は足早に去っていく。
一体全体、なんだったの…。
いつもの週末に起きた嵐のような出来事。
それが全ての始まりだった。