囚われの王子様。


「須藤さん、ですよね?あの、手続きの説明をするのでこちらのミーティングルームへどうぞ…」


目を合わせずにそう言って、抑えてあった人事部内のミーティングルームへと案内した。





「役所で転入届は出しました?」

「…ああ」

「じゃあ、こちらの社会保険の住所変更届けに記入をお願いします。
この丸がついてるところに新しい住所記入してもらって、あと、ここ2年の間に向こうで病院にかかったりされました?」


極力下を向いて矢継ぎ早に質問し、どんどんと手続きを進めていく。

お願いだから気づかないで…!


そう思うけど、須藤さんからの返事がない。

怖くて顔は上げられないけど、なんだか物凄く視線を感じる。


どうしようかと下を向いたまま、あわあわとしていると、


「あのさ、」

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