囚われの王子様。
「でも、なんであんなところに居たんだ?」
「弟があそこでフットサルの試合してたんですよ。それで着替え持って来いって頼まれちゃって」
「ああ、じゃあ対戦相手の大学生の中に弟さん居たんだ」
「そういうことになりますね」
「でも良かった。もしも彼氏の応援で来てたんなら、取り返しのつかないことしたんじゃないかと思ってたんだよ」
「いえ、全然。私、そんな相手いないので」
「へえ」
うわぁ、すっごく興味なさそう。
「今度、お礼させて。というか、お詫びか」
「いや、そんなの気にしないで下さい!私も気にしてないので」
さ、手続き終わらせちゃいましょう、と説明途中だった書類を須藤さんの前へと差し出す。
この話はこれでお終い。
もうこれで彼と関わることはない。
そう心の中で呟き、説明を続けた。