囚われの王子様。
「何もないの?」
この場所を教えてしまったことを未だ後悔していると、突然須藤さんに顔を覗き込まれびくりと肩を震わせてしまう。
えっと、なんだっけ?あ、欲しいものの話か。
「あ!灯油が欲しいです」
「灯油?」
「来週からまた寒くなるって言ってましたし、そういえば切れかかってたなー、と思って」
「よし、俺が買う」
「え?は?なんで?」
「その代わり、頼みたいことがあるんだけど」
切羽詰まったような表情の須藤さん。
私に頼みたいこと?それも報酬を提示してまで。
うわ、なにそれ…。
怖いな。嫌な予感しかしないんだけど。