囚われの王子様。
『本当に申し訳ないんだけど、もう一度だけ彼女のフリしてくれない?』
そうやって、私にわざわざ頼み込んでまで彼女がいるって思わせたいのはなぜ?
正直、ここまで協力するんだから理由を聞きたい気もするけど、なんとなくここには触れない方がいい気がする。
腑に落ちない部分はあるけど、蘇るのは須藤さんの心底困ったような表情。
私が断れば、嘘がばれてまたあの女の人に須藤さんが責められるのかと思うと、断ったりするのは何故だか申し訳なくて。
なんだか私が悪いことしてるみたいな気になってくる。私何も悪いことしてないけど。
まあ、人助けだと思っておこうかな。
それに、報酬も出るらしいからな。
今夜は須藤さんに付き合おう。どうせ暇なんだし。