囚われの王子様。
須藤さんは灯油を買ってくれるって言ってたけど。
いくら彼女のフリをしてあげるからって、それだけで須藤さんから買ってもらったりはできない。
それならいっそのこと、今度ランチを奢ってもらうっていうのも良かったかもしれないな。
あ、そうだ。駅前に出来たお洒落なカフェとかいいかも。
いや、待てよ。そうなると、須藤さんとふたりきりで食事しないといけないってこと?
うわ、無理無理。まともに会話したこともないのに。
それに、みんなから『王子様』なんて持て囃されるような人とふたりで食事なんて。
絶対、落ち着かない。
やっぱり灯油運びを手伝ってもらおう。
というか。
そうやって報酬のことばかり考えている暇はないんだった。