囚われの王子様。

慌てて終業後に化粧直しに来たっていうのに。取り敢えず、手持ちの化粧品で整えよう。


どういうメイクをすればいいかな。

ばっちりメイク?それとも可愛い系?若作りした方がいい?

須藤さんの彼女になる人ってどんなタイプだろう。


「あー、分からない…」


誰もいない化粧室で私のぼやく声が響く。


いいや、自分らしいメイクしよう。

同期に貰った京都のあぶらとり紙で皮脂を抑え、乾燥肌なので乳液をなじませる。そして、ファンデーションを塗って、と。

次は、少しよれている瞼のアイシャドウにベージュのアイシャドウクリームを使って補修。

チークなんて持って来てないけど、まあ顔色は悪くないからいいか。

落ち着いたピンクベージュのリップを塗って。

うん、いつものメイクの出来上がり。


服装は、濃いグレーのタートルネックのニットに、白のパンツ。突然言うから仕事服だけど、それはしょうがない。

あ、髪の毛。低めのお団子が崩れかけてる。もう下ろしてしまおうかな。

パーマをかけているのと、もともと癖がつきづらい髪質なので下ろしても変な癖はついてない。


よし、これで行こう。

< 25 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop