囚われの王子様。
『僕の彼女を紹介します。』
何度もページをめくり直していたから、結局全然進んでいない読みかけの本をぱたりと閉じる。
「お疲れさまでした」
労いの言葉をかければ、須藤さんは申し訳なさそうに『遅くなった』とつぶやいた。
テーブルに片手をつき体重を預けるように立つ須藤さんは、何というか、とても絵になる。
疲れたように軽く息をつく姿も、ドラマのワンシーンみたいだ。
やっぱりスーツが似合う。
もともと外国人のように足は長いけど、スーツの青のストライプも手伝って余計スタイルが良く見える。
質の良いコートに、首元に巻いているマフラーは外国のブランドのものだったりするのかな。すごく肌触りが良さそう。
「コーヒーでも飲みながら少し打ち合わせでもと思ってたんだけど、仕事終わらなくて」
須藤さんは、自分の腕にはまった腕時計を見て眉間にしわを寄せる。
多分待ち合わせの時間が迫ってるんだろうな。