囚われの王子様。

なにがあったんだろう、と気になり始めたとき、


「もうその話はいいから。香子、飲み物は？」

「あ、じゃあこれと同じものを」


須藤さんに飲み物を尋ねられ、咄嗟に2杯目に飲んでいたピーチウーロンを指差すと、須藤さんが店員さんを呼びオーダーしてくれて。


そんな須藤さんの様子に、もうこの話はお終いとばかりに話題が切り替わる。

それから、この話が出ることはなかった。


真鍋夫妻は大学時代からのお付き合いらしく、サークルを巻き込んでの大喧嘩の話とか結婚式で真鍋さんが飲みすぎた話など色々な話、主に沙織さんの愚痴を聞かせてもらった。


そしてなんと、第一印象が厳ついつ感じだと思った八木さんは、小学校の先生らしい。

確かに、話してみると優しい性格なんだろうなというのが伝わってくるし、なんだかんだ私に気を使ってくれていて面倒見も良さそう。


須藤さんのお友達はみんな良い人で、ここに来る前の緊張が嘘みたいな楽しい時間を過ごした。