囚われの王子様。
なんだか男の人の車でふたりっきり、なんてシチュエーション久しぶり過ぎてどうしたらいいか分からない。
変に緊張して、黙ったまま下を向いていると、
「あ、悪い。あんまり知りもしない男と、いきなりこんな密室にふたりなんて嫌だよな」
ちらっと私の方を向いた須藤さんが謝る。
「いえ、全然大丈夫です…!」
しまった…。緊張しているのがバレてしまったみたいだ。
いい歳した女が、ちょっと男の人とふたりっきりになっただけで読まれるほど緊張するなんて…。
どれだけ免疫なくなってるの、私。
密室に須藤さんとふたり。
それが嫌なわけじゃない。警戒してるわけでもない。
いくら密室と言っても、須藤さんが変なことをするような人じゃないって言うのは分かってる。
須藤さんは私に変なことするほど女の人に困ってないだろうし。彼女は居ないみたいだけど。