囚われの王子様。
「お、ガソリンも安いじゃん。いい店知った」
『他店よりも5円も安い』が売りのこのガソリンスタンドを早速須藤さんも気に入ってくれたみたいだ。
「俺、ちょっとガソリン入れてもいい?」
「もちろん。私、その間にタンク買っときます」
そう言って車を降りると、ポリタンクを買うためにサービスカウンターへと向かった。
突然のことだったので灯油タンクなんて持ってきてなかったし、マンションに寄ってもらうのもなんだか面倒で。
使わないタンクは実家に引き取ってもらおう。
タンクを2つ購入して灯油コーナーへとたどり着くと、早々とガソリンを入れ終わったらしい須藤さんの車がそこにあった。
「ここに金入れればいいわけ?」
『あ、カードでもよかったのか』と、須藤さんが現金投入口に万札を入れようとしていた。