そのアトリエは溺愛の檻
写真展の男
遠くから音が聞こえてくる。何だろう、この音は。気になるけど瞼が重くて開かない。こんなに気持ちの良い眠りは久しぶりだから、もう少しだけ眠りたい。

もう少しだけ、このまま……。


二回目に目を覚ました時は意識がはっきりしていた。だけどすぐにはここがどこなのか分からなかった。

見慣れない薄暗い部屋と知らない香り。さらさらとしたブランケットが肌に当たって変な感じがしている。どうして何も着ていないのだろう、そう思った瞬間、全てに気づき血の気が引いた。

自分の格好と周りを見渡して昨夜の出来事が走馬灯のように頭に流れる。自分のいるソファーのすぐ側で眠っている逞しい身体をした半裸の男を見て目眩がした。


何やってるんだ、私は!

たくさんの写真に囲まれた部屋は昨夜と変わらず静かで、わずかに外の雨の音が響いているだけ。昨夜よりは雨脚は落ち着いているようだけど、まだ止みそうな音ではない。
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