そのアトリエは溺愛の檻
「俺、仕事とは別でライフワーク的な写真撮ってるんだけど、きみをそのモデルにしたい」

何それ、ライフワークって。もしかして普通のモデルに頼めないような危ない写真とか?
簡単に寝てしまう女だからそういうモデルになれと?

きっとそのままどこかに売り払われてしまうんだ。嫌だ、平穏に暮らしたい。


「無理です、絶対に無理です。モデルなんてできません。」

「いや、別にいかがわしい写真のモデルになれって言ってるんじゃないよ、普通の写真だから。もちろん服も着てていい。どこにも公開しないし、このアトリエで撮影するし」

「そうなんですか」

「そんな風に勘違いされるとは心外だな。いかがわしい写真がライフワークだと思われるとは流石に考えなかったよ」


そう言いながらも、顔は怒っていなくて微笑んでいる。


でもモデルって、ここに来る前にアキのインタビューを読んだり作品を見たりしたけど、確か彼はここ数年、人物が主役となる写真は撮ってなかったはずだ。

しかし実際には撮ってなかったのでなく、仕事とは別で撮っているから公開していなかったということなのか。
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