そのアトリエは溺愛の檻


本当に、ありえない。どうしてこんなことになってしまったんだろう。

こんな失態は今まで経験したことがない。自分の部屋に帰ってシャワーを浴びて冷静になっても、後悔と絶望が私の心を支配していた。

確かに昨夜はいつもより酔っていた。昨年から取り組んでいた大きな仕事を終え、気分が高揚していたのと週末金曜日で翌日が休みということで、打ち上げの後に一人でバーに行って普段より強めのカクテルを飲んだ。

しかし、だからといって、わけも分からなくなるほど泥酔していたわけではない。その証拠にタクシーで近所のコンビニの前で降ろしてもらい、ミネラルウォーターを買って飲んだところまでしっかり覚えている。飲みすぎたことを認識して水を飲まなきゃと思うくらいにはしっかりしていた。そこまでは良かった。

問題はその先だ。


コンビニから出ると雨が降っていた。まだ小雨だったし、傘を買うほど距離ではないのでそのまま歩いていると、あるポスターが目に止まった。

そこは、コンビニからうちのマンションの途中にある小さなイベントスペースだ。

凝った作りのデザイナーズマンションの一階が短期レンタルのイベントスペースとなっていて、写真や絵の展示、月数回のヨガ教室等、様々な用途で使用されている。

私は時折そのイベントを楽しんでいる客のひとりなので、ポスターは毎回確認するようにしていた。
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