そのアトリエは溺愛の檻
「でも百音はそろそろ次に進んでもいいんじゃない? というか、あのイケメン。もともと知り合いだったんでしょ? あんな有名人とどういう関係なの」

「ええと……」

今までなんとなく避けていた話題を急に、それも直球で振られ、言葉に詰まる。


「もともと知り合いというか、なんというか……。なかなか話すのが難しいんだけど……」

二人が顔を見合わせる。

「訳ありだな」
「訳ありね」


この二人は職業柄、人の顔色を読む能力に長けているからいけない。そのおかげで去年助けてもらったわけだけど。でも今日だけは困る。

「訳ありすぎて話せないってのは、なし?」


二人は声を揃えて、「なし」と答えた。



ですよね。
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