そのアトリエは溺愛の檻


「まさか百音がそんな子だったなんて」

「その日の飲みって、あの打ち上げだろ? あの後まだ一人で飲んだのか。危なっかしい」

「私だって後悔してるから、言わないでよ」


写真展での出会いから撮影のモデルをやることになったことまで、撮影中に過剰なスキンシップがあるという部分は省いて一部始終をざっと説明した。

本来なら恥ずかしくて誰にも言えない話だけど、さすがにそろそろ相談相手が欲しかった。

この二人なら去年も散々ダメなところを見せてきたし、きっと相談に乗ってくれると思った。


「でもモデルなんてすごいじゃん、いいなー。写真ないの? 見たい見たい!」

「ないです。あっても見せません」


重秋を直接見ていることもあり、やはり奥田さんは食いつきがいい。


「ねぇねぇ、金曜の夜に撮影って、ぶっちゃけその後は何もないの?」

「ないです! あの日以降、そういう関係にはなってないです!」


スキンシップはあるけど、とりあえず「その先」には進んでいない。
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