そのアトリエは溺愛の檻
『申し訳ないんだけど来週金曜の打ち合わせキャンセルにしてもらっていい? 急遽月曜から出張が入って行けなくなって』

「はい、わかりました」


それなら別にいつも通りメールの連絡で良かったのにと思いつつ返事をする。

『でさ、この先スケジュール詰まってて当分行けなくなるから、もし百音が都合悪くなかったら、明日撮影させてほしいんだけど。時間は合わせるから。どうかな?』

「明日、ですか?」

明日は幸い予定もない。でも、今日結構お酒を飲んだから明日は少しむくんでいるかもしれない。

『急だし無理かな』

「いえ、予定は大丈夫なんですが、もしかしたら顔がむくんでしまっているかもしれなくて」


こんなこと言うのは恥ずかしいけど、モデルとして行くのだからそういことは事前に伝えておいたほうがいいと思った。


『むくみ? よほど酷くない限りは大丈夫だけど。もしかして飲み会か何か?』

「同僚と飲んでましたがさっきお開きになったとこで、これから帰るところです」

『そうか、ちゃんとタクシーで家の前まで送ってもらえよ』
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