そのアトリエは溺愛の檻
そもそも無理だったかもしれないのに、そんな可能性のために来たなんて。

彼にとって、この撮影は本当に大切なものなのだと実感する。勘違いしちゃだめと思いながらも、嬉しいと感じる自分がいた。


「そうやって照れてるのを我慢してるの、いつも思うけど可愛いよね。今すぐ撮りたくなる」

「からかわないでください」

「ね、今日飲んでた同僚って男?」

「えっと、ひとりは。でももう一人は女の先輩で、三人で飲んでました」

「ふーん」


別に何もやましいことはないけど、三人と言う部分を強調してしまった。


「翌日のむくみを心配するくらいたくさん飲むほど仲がいいんだ」

「まぁ割と」

「へぇ、それは妬けるな。俺もそれくらい仲良くなって百音と飲みたいな」

「もぉ、からかわないでくださいよ」


ただでさえすごい容姿なのに、こんなバッチリ決めた状態でそんなこと言うとか反則だ。どんなに防御しても敵わない。
< 61 / 113 >

この作品をシェア

pagetop