そのアトリエは溺愛の檻
お互いのことは今まで全然話してこなかったけど、今は最初の金曜日みたいに無防備な心をさらけ出して彼と向き合っている。あの時は後悔して忘れようとしたけど、じっくり話すのはこんなにも心地良かったのに、全て忘れようとしてたなんて愚かだったなと思った。
「重秋さんは技術があって、家族からも世間からも広く認められて、自分の事務所もあって素敵なアトリエもあって、こんな恵まれた容姿で、欲しいものは手に入ったんじゃないですか?」
「何、突然。いろいろ褒めてくれたのは光栄だけど、答えはノーだよ。俺は貪欲だから、まだまだ欲しいものがたくさんある」
「例えば?」
「百音とか」
軽く髪にキスされる。
「もう、そういうのはいいんです」
「じゃあ、それ以外ね。もちろんあるよ。俺がこの道に進むきっかけを与えてくれた人と約束した『人生最高の一枚』もまだできてない。ライフワークはそのための写真だから」
「人生最高の一枚?」
「重秋さんは技術があって、家族からも世間からも広く認められて、自分の事務所もあって素敵なアトリエもあって、こんな恵まれた容姿で、欲しいものは手に入ったんじゃないですか?」
「何、突然。いろいろ褒めてくれたのは光栄だけど、答えはノーだよ。俺は貪欲だから、まだまだ欲しいものがたくさんある」
「例えば?」
「百音とか」
軽く髪にキスされる。
「もう、そういうのはいいんです」
「じゃあ、それ以外ね。もちろんあるよ。俺がこの道に進むきっかけを与えてくれた人と約束した『人生最高の一枚』もまだできてない。ライフワークはそのための写真だから」
「人生最高の一枚?」